親指AF(back-button AF)のメリット もどる



ニコンD3のシャッターボタン ニコンD3背面のAF-ON釦  通常コンパクトカメラも一眼レフカメラも、シャッターボタンを半押しすることによってAFが作動するのが一般的で、ほとんどの場合これがデフォルト設定となっており、私も永らくシャッターボタンを半押しにするAF操作がもっとも使いやすいものと信じて疑わなかった。一方、現在市場にあるほとんどの一眼レフカメラでは、カスタム設定すれば、ボディの背面にあるボタンを押すことによって、AFを作動させることが可能になっている。(ニコンのD4など一部の上位機種では最初から背面にAF-ONボタンが割り当てられている)
 プロカメラマン、とくにスポーツ系のプロの多くは「シャッター半押しによるAF作動」を「OFF」に設定して、専ら親指のみによりAF作動のON/OFFをコントロールしている。この時フォーカスはコンティニュアスモード(常に被写体にフォーカスを合わせ続ける)に設定しておく。この方法は一般に「親指AF(英:back button AF)」と呼ばれている。
 そこで、親指AFを実際に試し、その有効性、利便性を探ってみた。

 たとえば旅先で人物を撮るとき、一度フォーカスエリアを人物にあわせてフォーカシングし、フォーカスロックして、背景が中央に入るように少し構図を変えて何枚か撮影する場合。シャッターボタンを半押してAFをロックして撮影するよりも、親指AFの方がはるかに楽なことがわかる。シャッター半押しでシングルAFを設定した場合、AFは半押しによってロックされているが、一度シャッターを切り、指をシャッターボタンから離すと、次の半押しでまたAFが作動するので、意に反してその時フォーカスエリアにある背景にフォーカスが合ってしまう。故に、何度も人物にフォーカスロックしなおさなければならない。

 またシャッターボタン半押しAFの場合、シャッターを切る前に、半押しにしてフォーカスをあわせるというプロセスが「必ず」入るが、親指AFならば、人差し指は自由になっている状態から即座にシャッターを切ることができる。置きピンで撮る場合、シャッターボタン半押しという中途半端な状態でチャンスを待ち、ターゲットを狙い続けるのはカメラマンにとって負担である。親指AFでは親指を離せはフォーカスはそのまま動かない、わずかなチャンスを絶対に逃さないためにも親指AFが有効だと思う。

 また被写体が画面上小さい場合、被写体に中々合焦せず、まわりの背景あるいは手前の木の枝などにフォーカスしてしまう事は昆虫、鳥、ネイチャーフォトなどでよく体験することだ。親指AFなら主被写体に合焦したときに親指を離し、AFの動きを止めて、そのまま何ショットか撮ることができる。シャッターボタン半押しAFでは、フォーカスが定まらず、一瞬被写体にフォーカスが合っても、次の瞬間また狂ったようにAFが働き、思わぬ方向にフォーカスを持って行かれることがある。

 マニュアルフォーカスを最大限に活用出来るのも親指AFのメリットだ。フルタイムマニュアル対応レンズの場合、せっかくマニュアルでフォーカスを合わせても、カメラがオートフォーカスに設定してある限り、シャッターボタンに触ると意に反してAFが作動してしまう。親指AFではそういうことは無い。

 テストのつもりで(最初は我慢して)親指AFだけを使ってきたが、このように親指AFはいろいろメリットがあり、デメリットはほとんど見当たらない。妙に安心感を覚え、心地よい。それまで「シャッターを切る」と「AF作動」と言うふたつの仕事を兼任していた人差し指は、重要な「シャッターを切る」という仕事専任になって喜んでいる。親指AFの方がマンマシーンインターフェイスとして素直で、自然に思える。シャッターボタン半押しAFを長く使っている人にとっては、慣れるまで多少時間はかかるが、親指AFに慣れたら元の半押しAFには戻れなくなるだろう。そう言う私は2009年秋に「親指」に変えて以来そのままである。早く気づけば良かったと悔やんでいる。
 親指AFでただひとつ難があるとすれば、カメラを人に渡して撮影してもらうとき、いちいち説明しなければならないことだ。
 親指AFを駆使して撮影した写真を是非ご覧になってください。「舞岡公園を歩く」
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