雨に濡れたコゲラの棲家で、親がエサを狩りに出かけている静かな時間、一羽の好奇心旺盛な雛が、狭くて暗い部屋の天井に漏れる淡い光に誘われて、自分の背の3倍ほどある高い壁を這い上り、その丸い窓枠に足をかけると、ゆっくり顔を出した。新鮮な空気、初めて見る世界。その澄んだ若い野生の目に、まだ雨を含んでいる薄鼠色の空と新緑に覆われた嫋やかな丘、となりに聳えるみずきの大木、そして眼下にはカメラを構える壮健な爺さんたちの姿が写った。このコゲラはきっと人が好きで、カメラを恐れず、ずっと爺さんたちの友達になってくれることだろう。
22/5/14 12:51 OM SYSTEM OM-1, M.ZUIKO ED 300mm F4.0 IS PRO with MC-14, f5.6 1/400 ISO6400 +0.7EV