ふたりはある一定の距離を保ち見合って対峙していた。立ち合いの際、呼吸があえば組み合うがあわなければやり直しとなる。立ち合いの良し悪しで勝負が決まるとも言われており、両者ともこの一瞬に命を賭けている。二度仕切り直しがあって、ついに組み合ったと思ったら、どういうわけかふたり抱き合うようにして倒れた。これは相撲ではなかった。しかもふたりは異性である。実はこれは交接だった。オスがメスを抱え込むとメスは身を委ねた。愛の行為はほんの数秒だった。事が済むとふたりは立ち上がり、何事もなかったように別々の方向に去って行った。いまアオオビハエトリは婚活のピーク。婚姻色だろうか、春先に登場した時と比べるとオスもメスも一段とカラフルになっている。
23/5/16 10:54 OLYMPUS TG-6, 18mm f4.9 1/100 ISO200 w/Flash