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ムギワラトンボ

 郷愁の香り漂う古民家の庭では正月の準備が始まっていた。赤米、黒米などの野生イネを青田刈りして、それで少し上等な藁を作る。一般の白米になる品種改良された稲の葉はここまで長身に育たない。片手で持てるほどの大きさに束ね、竹で組んだ台の上に丁寧に並べて乾燥したあと、新聞紙に包んで冷暗所に保管される。そこでしばらく寝かされ、年の暮れに起され、この藁は正月用のしめ飾りに加工されると言うわけだ。各家の玄関や門にぶら下がったしめ飾りは、今の淡い香りと色を保ったまま新年を迎えることができる。薪を縛る荒縄や筵にする藁よりも上品で高貴な神にささげる稲藁なのであった。
 そこへ、そんなこたどうでもいい、とムギワラトンボ。

18/8/18 9:21 OLYMPUS E-M1 Mk2 M.ZUIKO ED 300mm F4.0 IS PRO, f7.1 1/500 ISO200

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稲わら
稲わら