他の人たちは会っているのに、なんで僕にはチャンスが来ないのだろうと思うことがある。シンジュサンという蛾もそのひとつ。逢いたくて、逢いたくて、みをつくしても逢はむとぞ思ふ、と祈り続けて20年。おかげでシンジュサンの幼虫はたくさん見たけれど、成虫にはついぞ逢えなかった。一度バラバラになった亡骸が、雨上がりの地面に散乱しているのを見たことがある。
この日、運命の出会いが待っていた。下を向いて歩いていると細い木の枝が顔に当たりそうになったので、これをよけようとすると、その枝にデカいシンジュサンがぶら下っていたのだ。なんていう登場のしかただ。胸がときめいた。
色んなアングルで撮ってやろうと、あわてて、とまっている枝を振り回し過ぎた。そんな簡単には飛ばないだろうと油断していたのがいけない。20ショットくらい撮ったところで、あばよ、と鳥のように大きく羽ばたいて飛んで行ってしまった。もっと写したかった。また、いつかどこかで逢えるだろうか。
↑Exif: 25/8/15 8:36 OLYMPUS TG-6, f2.9 1/40 ISO125 8mm w/Flash


